- 相続と相続税の基礎講座
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- 広大地の評価
広大な土地の評価について
相続税における財産評価方法は、財産評価基本通達で決められています。
広大地とは
広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。
ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除きます。
広大地補正率による評価方法
広大地の評価について、「財産評価基本通達には次のように書かれています」
広大地の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価します。
広大地が路線価地域に所在する場合
広大地の価額=広大地の面する路線の路線価×広大地補正率×地積
広大地補正率=0.6-0.05× 広大地の地積 ―――― 1,000平方メートル
広大地が倍率地域に所在する場合
その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を、上記1.の算式における「広大地の面する路線の路線価」に置き換えて計算します。
(注1)上記1.の広大地の面する路線の路線価が2以上ある場合には、原則として、最も高いものとします。
(注2)広大地として評価する宅地は、5,000平方メートル以下の地積のものとされています。したがって、広大地補正率は0.35が下限となります(地積が、5,000平方メートルを超える広大地であっても広大地補正率の下限である0.35を適用して差し支えありません。)。
(注3) 広大地補正率は端数整理を行いません。
広大地の評価について
広大地の考え方
大きな土地と小さな土地ではどちらのほうが単位当たりの土地の価値はどちらのほうが高いでしょうか?
皆さんが家を購入する場合、200平米と2000平米の土地があったら当然ながら200平米の土地を購入すると思います。
2000平米あっても自宅を建てるにはあまりにも大きいでしょう、土地の大きさが10倍で値段が5倍であったとしても買う人は少ないと思います。
でも2000平米でも買う人はいます。
どういう人が買うかというとマンションを建てようとか、戸建て分譲しようとする不動産業者です。
一般の人は自宅を建てるのに2000平米の土地は買いません。
マンションが建てられる地域であればマンションを建てて販売します。 マンションが建てられないのであれば区画を整えて分譲します。 いずれにしても不動産業者の利益をのせて販売するので仕入値は売値よりも安くなるのが通常です。
戸建て住宅の場合にはさらに道路や公園などで売れない土地、潰れ地が生じます。
一般的な大きさの土地に比べて大きな土地の単価が下がることを面大減価とよぶそうです。
その分を見越して考えると2000平米の土地と相続しても200平米の土地の10倍の評価額で相続税がかかるのは不合理といえます。
広大地の適用条件
財産評価基本通達ではこのように大きな土地のことを広大地といい、広大地補正によって評価減をすることができます。 ただし、広大地であることを証明し、広大地評価をするために次の4つの条件があります。
1.著しく面積が大きな土地であること(3大都市圏では500平米以上)
2.戸建て分譲業者が購入するであろうと思われる土地であること(マンション業者は買わない)
3.開発道路等が必要となる土地であること
4.現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地(ファミレス等)に該当しないこと
これらの条件をクリアしてはじめて広大地の適用が受けられます。
広大地の意見書、報告書の必要性について
条件をクリアしているかどうかは不動産の専門家の意見が重要となるため、我々税理士が単独で証明するのはなかなか難しいのが現実です。
そのため当社でも外部の専門家、不動産鑑定士などに意見書や報告書を依頼することにしています。 広大地の計算そのものは簡単ですが、適用要件の判断基準が明確ではないため評者者によって見解の違いがあるという問題があります。
そのため税理士が広大地であるとして申告をしたとしても税務署側で広大地評価は適用できないとして否認されるケースが多く見受けられます。 この税務署との見解の相違による否認リスクを少なくするために提携している不動産鑑定士による広大地に該当することを主張する意見書、報告書を付ける必要があると考えます。